『STORY OF A JUNKIE』(1987年、米) あらすじ  当時のニューヨーク貧民地区に暮らすグリンゴ(メキシコ人が白人を指す呼び方)と呼ばれる若いジャンキー(麻薬中毒者)を主役に、本物の住民が麻薬の袋詰めや街頭での密売、強盗といった、実際の彼らの日常の一部を“再現”して見せた、セミドキュメンタリー。筋は無きに等しく、普通のドラマではないので見て面白いものではないし、低予算のせいで画面が必要以上に暗くて見づらい。ヌードや過度の暴力等は無いが、R指定。(以前はフリーでしたが、今はDVD化された様です?) 私の感想  ユダヤ系の社長さんがよく宣伝に出てくるトロマ社というエロ・グロ・ナンセンス+暴力の“B級”(+素人っぽい演出=Z級?)作品専門の映画会社が配給した(一般的な意味での)唯一の佳作です。画面はとても見づらいですが、所々に(例えば実際に麻薬を注射する等)必見の場面があるので、倍送りでも良いから最後まで見て下さい。現在は再開発で大抵の街並みはマシになりましたが、大手メディアが見せない部分のニューヨークの暗さと怖さは、21世紀の今も変わらないでしょう。何でも真っ当な職を見つけて、こういう街から抜け出すのが一番でしょうが、そこで生まれ育った人はもちろん、他所から来た人も一旦こういう暮らしに染まると、もう抜け出そうという意識すら起きないのでしょう。  参考までに、この映画は実際に住民が住んでいる町ですが、この頃からNYの再開発が始まり、町ごと空き家になった区域を使った映画が幾つか在って、『TENEMENT』(1985年)や、C.ブロンソンの『DEATH WISH』(邦題「狼よさらば」)シリーズの何番目かもそうでした。  あとニューヨーク関連で、『THE DRILLERKILLER』(1979年、米)https://archive.org/details/TheDrillerKiller は完全にフィクションの“B級”ホラー映画ですが、現在パブリックドメインに在って、実際のNYロケで、同時期もっとグロな映画は幾らも在ったのにナゼか公開時に多数の国で上映禁止された(たぶん製作者も知らない何かがある?)ものなので挙げておきます。他に『BASKET CASE』(1982年、米)、『BRAINDAMAGE』(1981年、米)も実際のロケでNYの雰囲気が分る、よく出来た“B級”ホラーなのでお勧めです(三つ共R指定で、かつユダヤ的だけどネ)。